子(し)陳(ちん)に在(あ)りて曰(い)はく、帰(かへ)らんか、帰(かへ)らんか。吾(わ)が党(とう)の小子(しょうし)、狂簡(きょうかん)にして斐然(ひぜん)として章(しょう)を成(な)す。之(これ)を裁(さい)する所以(ゆえん)を知(し)らず。
(訳)孔子は明君(めいくん)を得て道を行おうとして四方を周遊したけれども、陳(ちん)におられた時、道の遂(つい)に行われないことを知って歎息(たんそく)して曰(い)われるには、「帰ろう、帰ろう、魯(ろ)に居(い)る吾(わ)が門人たちは志は大きくて小事に拘(かか)わらず、美しい錦(にしき)のように色彩や模様の観(み)るべきものがあるが、これを裁(た)って衣(ころも)にすることを知らない。彼らは道に進むべき素質はあるが、これを裁って正しく斉(ととの)えることを知らないから、帰ってこれを教育して中正(ちゅうせい)の道に合(がっ)するようにしよう。」
著者の解説では、孔子は道(みち)の当世(とうせい)に行われないことを知って、初めて人材を教育して道を後世に伝えようとした。と書かれていました。
孔子が諸侯から求められずに、門人のため故郷に帰ろうと思い至った際の話だと分かりました。
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