私たちは普段、1月、2月、3月……というカレンダーに沿って生活しています。

では、この「1か月」という区切りは、どこから生まれたのでしょうか。

答えは、夜空に見える月の満ち欠けです。

現在のカレンダーでは、1か月は28日、29日、30日、31日とばらばらです。しかし、もともとの「月」という時間の単位は、月が新月から満月になり、再び新月へ戻るまでの周期をもとに作られました。

月の満ち欠けは約29.5日

新月から次の新月までにかかる日数は、約29.5日です。

この周期は「朔望月(さくぼうげつ)」と呼ばれます。

昔の人々にとって、月はとても分かりやすい時計のような存在でした。太陽の動きは一年という長い単位では役立ちますが、毎日の生活の中で「今月はどのくらい進んだのか」を知るには、月の形の変化が便利だったのです。

新月、三日月、半月、満月というように、夜空を見れば時間の流れを感じ取ることができます。

そのため、古代の人々は月の満ち欠けを基準にして、1か月を29日または30日として数えるようになりました。

昔の暦は月を基準にしていた

月の満ち欠けをもとにした暦は「太陰暦」と呼ばれます。

太陰暦では、新月の日を月の始まりとし、次の新月までを1か月と考えます。月の周期が約29.5日なので、1か月は29日か30日になります。

日本でも、明治時代の初めまでは旧暦と呼ばれる太陰太陽暦が使われていました。

旧暦では、月の満ち欠けと日付が密接につながっていました。たとえば旧暦の15日ごろは満月に近く、月末ごろには月が見えにくくなり、新しい月が始まるころには新月になります。

お月見が旧暦8月15日に行われるのも、満月に近い時期を選んでいるためです。

現在のカレンダーは太陽を基準にしている

では、なぜ現在のカレンダーは月の満ち欠けと一致しないのでしょうか。

理由は、現在のカレンダーが月ではなく、太陽の動きを基準にしているからです。

私たちが使っているグレゴリオ暦は、地球が太陽の周りを一周する周期、約365.24日をもとに作られた太陽暦です。

月の満ち欠けを基準にすると、1年は約354日になります。太陽の動きを基準にした1年よりも約11日短くなってしまうため、そのままでは季節が少しずつずれていきます。

たとえば、春の行事が何年か後には冬に近い時期になってしまうこともあります。

そこで、季節と暦を合わせるために、現在では太陽の動きを基準にしたカレンダーが広く使われるようになりました。

1か月の日数がばらばらなのはなぜ?

現在のカレンダーでは、1か月の日数が28日、30日、31日と統一されていません。

これは、古代ローマの暦をもとにした歴史的な事情によるものです。

もともとの暦は月の満ち欠けを意識して作られていましたが、その後、太陽の動きに合わせるために何度も調整されました。その結果、現在のように月ごとの日数が異なる形になりました。

2月だけが短いのも、その調整の名残です。

「月」という言葉に残る昔の人の知恵

日本語では、夜空に浮かぶ天体を「月」と呼び、時間の単位も「月」と呼びます。

これは偶然ではありません。

昔の人々が月の満ち欠けを見ながら日々を数え、季節を感じ、暮らしの予定を立てていたことが、言葉の中にも残っているのです。

英語でも、月を意味する「moon」と、1か月を意味する「month」は、同じ語源を持っています。

今ではスマートフォンやカレンダーアプリで簡単に日付を確認できますが、少し昔の人々は夜空を見上げながら時間を感じていました。

七夕にも残る、月と暦のつながり

月の満ち欠けを基準にした旧暦は、日本の季節行事にも影響を残しています。その代表的な例が七夕です。

現在の七夕は毎年7月7日ですが、本来は旧暦7月7日に行われる行事でした。旧暦は新月を月の始まりとするため、旧暦7月7日は新月から約1週間後にあたります。このころの月は上弦に近い半月で、満月ほど明るくありません。

そのため、夜空に流れる天の川や、織姫星と彦星を比較的見つけやすい時期でもありました。

旧暦7月7日は、現在のカレンダーでは8月ごろになることが多く、空気が澄み始める時期とも重なります。現代の7月7日よりも、昔の七夕のほうが星空を楽しみやすかったのかもしれません。

七夕の伝説そのものは月の満ち欠けから生まれたわけではありません。しかし、行事の日付が旧暦によって決められていたことから、七夕にも月と暦の深い関係が残っているのです。

まとめ

「1か月」という考え方は、月の満ち欠けに由来しています。

新月から次の新月までの約29.5日が、もともとの1か月の基準でした。

ただし、現在使われているカレンダーは太陽の動きを基準にした太陽暦なので、月の満ち欠けとは必ずしも一致しません。

カレンダーの中にある「月」という言葉には、夜空を見上げながら時間を数えてきた人々の長い歴史が込められているのかもしれません。