アキヒロ号のブログ
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本の紹介

学而第一(10)

子禽(しきん)子貢(しこう)に問うて曰はく、「夫子(ふうし)の是(こ)の邦(くに)に至(いた)るや、必ず其(そ)の政(まつりごと)を聞く。之(これ)を求(もと)むるか。抑(そもそも)之を与(あた)ふるか。」子貢曰はく、「夫子は温良恭倹譲(おんりょうきょうけんじょう)を以(もっ)て之を得(え)たり。夫子の之を求むるや、其れ諸(こ)れ人の之を求むるに異(こと)なるか。」

(訳)子禽が子貢に問うて曰うには「先生は至る所の国で必ず政の相談にお与りなさいますが、これは先生がお求めになるのでしょうか。あるいは又国君(こっくん)が政をお授けになるのでしょうか。」子貢が答えて曰うには「先生は温良恭倹譲の五徳(ごとく)を備えていらっしゃるから、国君がその徳に感じて自ら国事を問いに来られるので、自然相談にお与りなさいます。先生はお求めにはなりませんが、お求めになったといえばいわれないこともありますまい。しかし、先生のお求めになるのは他人が求めるのとは異なっています。」

著者の解説では、宋の謝良佐(しゃりょうさ)の言葉を引用して「学者は聖人の威儀の間を観てもまた徳に進むことができる。子貢のごときは善く聖人を観たともいわれるし、また善く徳行を言ったともいわれる。今は聖人を去ること千五百年になるが、この五つの徳をもって、その様子を想見すれば、なお人を興起(こうき)させる。親しく教えを受けた者はどんなだろう」と結んでいました。

温良恭倹譲(おんりょうきょうけんじょう)は、「おだやかで、素直で、うやうやしく、つつましく、ひかえめなこと」を意味する慣用句で、孔子が人に接する態度を評した言葉として知られています。

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